前泊博盛編著『本当は憲法よりも大切な「日米地位協定入門」』(創元社)を読む②

2013年05月31日 10:03

その2.ことほどさようであったから、日米地位協定の前身である日米行政協定は前述したダレスの要求通り、①日本の全土基地化②在日米軍基地の自由使用を可能とするわが国とって極めて従属的な内容となった。

 そこでまず①に関連する条項を見ると、
日米行政協定第二条1
「日本国は合衆国に対し、安全保障条約第一条に掲げる目的の遂行に必要な基地の使用を許すことに同意する。」
とある。これは
日米地位協定第二条1項(a)
「合衆国は日米安保条約第六条の規定にもとづき、日本国内の基地の使用を許される。」
との記述に受け継がれている。本書の説明を引用すれば、「つまり他の安全保障条約のように、どこどこの場所をどれだけの期間、米軍基地として使うという取 り決めではなく、「米軍」が「目的を達成するために必要」(行政協定)とする基地の使用を、日本政府は許可するということ」である。

 また地位協定は基地使用の取り決めについて
第二条2
「日本国政府および合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前期の取り決めを再検討しなければならず、また前記の基地を日本に返還すべきことまたは新たに基地を提供することを合意することができる。」
第二条3
「合衆国軍隊が使用する基地は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも日本国に返還しなければならない。合衆国は基地の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する」
とあり、合衆国が基地の返還に同意しないかぎり、これを永続的に使用することができる規定になっている。

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